The bear's schoolくまのがっこう

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くまのがっこうブランドの世界

Long Interview2 Nami Adachi

ロングインタビュー「くまのがっこう」イラストを担当 あだちなみさんの素敵なアトリエを訪ねました きれいな色使いが目を引く「くまのがっこう」の絵本。絵をかいているあだちなみさんのアトリエで、絵本にまつわるお話をうかがいました。

つくり手の思いが伝わるものづくり

「くまのがっこう」などのカラフルな愛らしい絵で大人気のあだちなみさんは、子どもの頃からよく絵を描いたり、手づくりをしていたのだそう。
「お洋服を着た女の子の絵を描いたり、針を持って、フェルトでマスコットをつくったり。折り紙とか、紙を切ってなにかつくったりしてました」

手を動かしてものをつくることを、あだちさんの家では皆があたりまえのようにやっていました。
「母が洋裁をしていて、毎日ミシンを踏んでるか、縫い物をしていて。私とおそろいで、人形の服もつくってくれました。父も絵を描いたり、筆を持つ仕事をしているので、そういうところを小さい頃から間近で見てきて。当時は知らなかったけど、プロが使う筆とか絵の具を与えてもらって、描いてたんです」

1.お母さんがくれた針さしと45年物の刺繍糸。 2.「苦楽をともにした」ぬいぐるみ、ニキ。糸。 3.子どもの頃、愛読していた工作の本と絵本。

そんな環境に育ったあだちさんにとって、絵を描いたりものづくりを続けていくのはごく自然なことでした。着せかえ人形の洋服をつくりたいと玩具メーカーに就職し、当初の希望はかなわなかったけれど、心に残る出会いを経験しました。
「その会社はシュタイフの輸入代理店でもあって、私はその部署に入ったんですね。昔のテディベアがいっぱいあって、部署内にも飾ってありました。ちょうどその頃、シュタイフのドイツの博物館の展覧会があったんです。テディベアだけでなくフェルトドールも、もう本当に素晴らしくて」。
ていねいに、大切につくられていることが作品から伝わり、
「ああ、こういうものづくりをしなきゃいけないなって思いました」

4.クリスマス仕様のジャッキー のぬいぐるみ。箱や薄紙、カード までこまやかな心遣いが。 5.最初につくったジャッキー。 5.最初につくったジャッキー。 6.絵本のラフ。ほとんど仕上がりどおり。

そうしてテディベアに詳しくなったことが、のちに「くまのがっこう」誕生のきっかけとなりました。
転職先で同じプロジェクトにいた、あいはらひろゆきさんから絵本をつくろうと誘われた時、テディベアを描いてみてと頼まれたのです。
「たくさん描いていったら、いっぱいいるのがいいね、ということになって。じゃあ学校だね、と」

12匹のくまのこたちのうち、最初のディッキーとおチビさんのジャッキーはあだちさんが名づけ親。あとはあいはらさんが名前を考えました。
耳の形や目の位置などが少しずつ異なる12匹のキャラクターは、絵を描きながらつくっていきました。
「この子にはいつも本を読ませよう、この子にはお菓子を食べさせようとか。ジャッキーのすぐ前の子は、ちょっといたずらされちゃうとか。描いてるうちに決まった感じです」。
特徴を把握しているので描きわけはむずかしくないものの、やはり楽ではありません。
「ひとりひとりのことを考えて、入りこんで描くので、1枚描きあげるとけっこうぐったりします(笑)。面白いですけどね」

7.ボローニャのブックフェアで の配布用につくった布バッグ 8.イベント時につくった紙バッグ 9.おまじないカード

絵を描くこととはべつに、あいはらさんと協同でつくっていくところが楽しい、と言うあだちさん。
「まずお話をもらって、描いた絵をあいはらさんに見せて。もっとこうしたほうがいいよとか、話し合ってつくっていくところが面白いと思ってます」

今後、文章も自分で書く作品の予定は?
「考えているものはあるんですけど、なかなか、文章にすることはむずかしくて」。まだ暖め中です。

きれいな色の組み合わせを見せたい

あだちさんが絵を描くうえで大切にしていることのひとつは、色の組み合わせ。最初に色のイメージをつくってから絵を描き始めます。
「絵本だから、読者が子どもだからこういう色を使おうとはぜんぜん思ってなくて。きれいな色の組み合わせを見せてあげたいな、というのがいちばんですね」

そうした色づかいのもとには、自然の中に見られる美しい色があります。
「特に春の、草木のきみどり色がとてもきれいで。以前すごく印象的だったのが、若い稲穂の色。このきみどり色を見たことがあるのとないのでは、なにかちがうんじゃないかと思ったことがあります」

そんな鮮やかな色に彩られた、くまのこたちのかわいらしい洋服や小物、センスのいいインテリアなども「くまのがっこう」シリーズのチャームポイントです。
「洋服好きなのでファッション誌はよく見ます。海外の子ども服やインテリアの本も。情報はつねに入れるようにしてます」

10.11.12.あだちさんのオリジナルブランドqroquantの布。色や柄の組み合わせも考えてデザインしている。
10は1枚に3つの柄をプリント。

絵本の中のみならず、あだちさんは実際に雑貨や子ども服、テキスタイルなどのデザインを手がけています。
「そういうものも、絵本も全部同じ、ものづくりと思っているんです。つくり手が大切につくっていることが伝わる、いいものをつくりたいなって」。
絵を描くだけでなく、表紙から見返し、扉と続く展開や、紙の手ざわりなども含めた〝もの〟としての絵本づくりがしたい。
「1年か2年くらい前、『はなをくんくん』を手にした時、その絵本の持つ空気を感じたんです。内容とかじゃなく、感覚的に。こういうものがつくりたいな、と思いました」

ものづくりの一貫として、「くまのがっこう」シリーズも愛情をこめて描いているというあだちさん。
「本当にたくさんの愛情をジャッキーに注いで、絵を描いてきたし、ものもつくってきたし。そうしてつくってきたことは、きっと伝わるんじゃないかなと思ってます。これからも、ジャッキーに愛情を持って描くことを大切にしていこうと思います」

あだちなみさんの好きな絵本5冊

『ねえ、どれが いい?』 ジョン・バーニンガム/作 まつかわまゆみ/訳 評論社 定価1365円 「ジャムをかぶったりワニに食べられたり、とにかく面白い。バーニンガムの発想には共感を覚えます」 『窓の下で』 ケイト・グリーナウェイ/作 しらいしかずこ/訳 ほるぷ出版 定価2100円 「この本のもつ雰囲気が好きです。何度も眺めたくなる本。64ページというボリューム感も魅力的」 『はなを くんくん』 ルース・クラウス/文 マーク・サイモント/絵 きじまはじめ/訳 福音館書店 定価1050円 「この本を手にした時、この本が持つ空気を感じ感動しました。私もそんな本がつくりたいのです」 『ねむりひめ』 グリム童話 フェリクス・ホフマン/絵 瀬田貞二/訳 福音館書店 定価1365円 「本全体を通して抑えられた色調で、絵と文字の分量、構図のバランスがとても美しく作られています」 『ねないこだれだ』 せなけいこ/作 福音館書店 定価630円 「真っ黒な背景に白いおばけ。なんてシンプル。子どもの時このおばけを夢で見て、それは恐怖でした(笑)」